救急車が有料化?!メリットとデメリットとは?

お金

外国では有料

昨今、問題になっていることの1つとして「救急車のタクシー化」というものがあります。
皆さんもご存知の通り、救急車というのは本来急を要するような、極めて重篤な症状がある場合に呼び利用するものであって、例えば風邪を引いたであるとか、常用薬を貰いに行くであるとか、こういった用事のために利用されるものではありません。
しかしながら、昨今ではこういった簡単な目的のために救急車を呼び、半ばタクシーのように利用しているという人がいると言います。
こういった問題がある中で議論が持ち上がっているのが「救急車の有料化」です。

実際に利用したことがない人は知らない方も多いかも知れませんが、日本では救急車を無料で呼び、無料で利用することができるようになっています。
しかし、諸外国に於いては、救急車は有料であるというのが一般的になっていることも少なくありません。
全体を見てみると、北朝鮮やキューバなどの、いわゆる共産主義系の国家というのは、無料で救急車を呼べるようになっている傾向があります。
……共産党支配の中国が有料なのは特殊な体制を示していると言えるかも知れません。

これに対して、いわゆる資本主義系の国家というのは多くが有料となっています。
例えば福祉が充実していると言われている北欧のスウェーデンにおいても、救急車の利用は有料となっています。
もちろんご存知の通り日本は資本主義国家であるため、国際的な通例から見ると日本も有料であってもおかしくはありません。
ただ、他国と比較をしてその通りにするべきという問題でもないため、より具体的な内容について考えてみましょう。

メリットとデメリット

それでは、実際に救急車を有料にすることによって、どのようなメリットとデメリットがあることが考えられるのでしょうか。
まずはメリットとして考えられるのが「人手不足の解消」です。
最初に述べた「救急車のタクシー化の問題」に伴い、日本の救急救命要員というのは極めて人手不足の環境となってしまっています。
これにより、本当に必要な人の救急救命が遅れてしまう、というような問題が発生しているため、有料化によって人手を確保することには重要な意味があります。

また、人手不足を解消することが出来れば、その分スピーディに救急車が到着することが期待できるようになります。
心肺停止などの症状はいかに早く対処することができるか、ということが命に直接影響を及ぼす事になるため、「間に合う」ケースが多くなることも考えられます。
これに加え、消防関係の予算を削減することができるようになるため、国全体の財政にも余裕ができる可能性がある、というのが大きなメリットとして考えられます。

それでは逆に、デメリットとしてはどのようなものがあるでしょうか。
まずは「お金のない人が助からなくなる可能性がある」ということです。
本当に重症であるのに、「お金が掛かる」という理由から利用を躊躇してしまうことで、これまででは助かっていたものが助からなくなってしまう可能性がある、ということです。
さらに経済的な格差による命の重み拡大してしまうのではないか、というような懸念もあります。

また、有料化をしたとしても「お金を持っている人」の軽症利用を減らす事は出来ません。
このメリット・デメリットなどから「重症である場合には無料化するのが良い」という意見も多く見られます。
その場合には、どのような線引をするのかも問題となるでしょう。
議論が深まっていけば、いずれ救急車の有料化は現実的なものになるかもしれません。